ひめゆりの塔

愛すればこそ スクリーンの向こうからひめゆりの塔」という映画は今井正監督で、2作作られたそうだ。最初は1953年。その頃は沖縄はまだ日本ではなかったので、現地ロケはできなかった。撮影所でのセットで製作され、セット作りは大変だったらしい。でも、戦後8年出演者の戦争への思いは強かった。もちろん反対、二度とあってはならない、という思い。その思いが映画に表現され、観客の心にも通じる。


それから29年。沖縄返還後、現地でのロケが可能になり、再び映画が作られた。監督も同じ。年齢的に出演者は違うだろう。現地でのロケという本場はあっても、観客は以前よりは動員できなかったそうだ。


最初のときの出演者と観客との戦争への思い、がだんだんと風化される現実だ。


この話は、今読んでいる女優香川京子さん(1931年生まれ)の話をもとにした「愛すればこそ」に書いてあった。


戦後62年戦争反対に限らず、「何かを伝えたい」、という人々の心、気持、思いの強さが、それほどにもない今を思う。