熟練の勘どころ

ヨーロッパ印象派に影響を与えた北斎など浮世絵の世界。東洋と西洋の違いって何?と考えていたら、勘どころに行き当たった。最初から勘がいいという才能ももちろんだけど、何回もの経験から得る勘どころ。そこには努力もある。勘どころは今や見直されている昔からの職人、古典芸能の世界にある。


この1ヶ月余り、母が入院して私の周辺環境がガラリと変わった。母の病名のことで、西洋医学にはない、勘どころを痛感した。

もともと母は若い時から貧血がある。かかりつけ医から他の病院で貧血の詳しい検査をと言われ、4年前にそこに行った。しかし、その大変な検査を拒否して帰ったのだ。そこに、今回貧血がひどくなり、また検査に行くようにと言われた。でも4年間元気だったのだ。おそらくその病名は当たっていないだろう。
今さら大変な検査は受けられない。しかしその血液内科に行ってみることにした。それが4月末。微熱があり、白血球、炎症反応が高い状態だった。医者は4年前の骨髄○○症を疑っているが、とにかく熱を下げるために抗生物質の点滴。連休中通う。家から車で40分。朝10時半に行って、帰るのは早くて3時過ぎ。母も私もくたくただ。連休が終わり、来いと言われたが行かなかった。かかりつけ医に相談し、近くの総合病院に行った。しかし、60歳かかりつけ医はこの時点で、言われている血液の病気はないだろうと言いながらも紹介状の最初の行にその疑いあり、と書いているので、相手の病院はびびる。血液専門医がいないと入院は断られた。


翌日車で20分の内科の病院に入院することができた。そこで、大学病院から来る血液専門医が他の数値から見て、その血液の病気の疑いを消した。
ところが、抗生物質をいくら打っても熱は下がらない。肺が白くなる。何かの感染症だという。MRSAの疑いあり、という。それに今度は振り回された。痰を何回とっても、その菌は出ない。
気管支からファイバーを入れ、菌がいるかどうかの検査とより強い抗生剤を打つかどうか迫られた。一か八かの抗生剤。でも何回とっても出てこない菌なのだ。


結局母の資料を持って別の病院の呼吸器科で聞いてきた結果、ファイバーで検査しても菌などいないでしょう。1ヶ月近く動かないための肺の状態、誤嚥による熱の可能性が大という答えをもらった。1週間絶食にしてみると、その原因がわかるらしい。
担当医はすぐにそれをやり、原因を調べないと、悪化するという。
でも、今母はご飯も何とか食べ、熱も少し下がっている。そんなに原因を急ぐこともないではないか。素人考えなのだろうか。


4年間元気だったのに検査を受けなかったからという理由で骨髄○○症の疑い、菌が出ないのにMRSAの疑い、とにかく数字と検査の結果を頼りにする現代の西洋医学


医学の世界にも職人的熟練の勘どころは必要だ。そこに名医が生まれるのでは?
でも、今の医療システムでは無理だろう。

西洋と東洋のコラボレーション、医療現場でも熟練の勘どころが冴えるシステム、教育を実践して欲しい。


そして、母の熱が上がらないで欲しい。