あなごめし

さっき宮島口の「うえの」であなごめしを食べた。
そこで、思いっきりの回想法、昔はよかったこと、を書いてみたくなる。


その前に「うえの」のことを。明治34年創業の老舗で建物も変わらず。宮島と言えば「あなごめし」というイメージは「うえの」の客の多さが作ったようなもの。とにかく、休日、行楽シーズンには店の中(待合)からはみ出た客が店前にたくさんいる。
今日は普通の日なので、行けばすぐに店に入れるだろうと思ったら、待合には一杯の待ち人たち。「もう今日はやめた」と思って他の場所に移動。でもやっぱり食べようと1時半過ぎて行くと、中に入れない。でも待ち人は私だけなので、待つことにして、やっと2時近くに「あなごめし」にありついた。


他の店ではなく、宮島に渡る前にぜひここの「あなごめし」を食べて欲しいが、私にはちょっと不満がある。昔を知っているから?
それは、「あなごめし」の値段だ。小、普通、特上、とあるが、特上は1890円。普通よりもあなごが多いのだそうだ。小でも1260円。中味はごはん(骨をだしに炊いてあるとか)とあなごと漬物と小椀の赤だしのような味噌汁のようなもの。たったそれだけで、この値段。栄養的にも評価できない。でも、客は減らない。この値段が「あなごめし」を有名にしたとも言える。ここの店主はなかなかの人。ブランドにしてしまった。


私くらいの年だと、昔は家であなごを炭火で焼き、その漬け汁であなご丼風にして食べていた。家で焼くあなごがおいしかった。しかも天然地元産。特に私の好物だった。


あなごだけではない。今高級料亭で紹介する高価な魚もその頃たくさん食べた。おこぜなんかしょっちゅう味噌汁なんだから。冬には渡り蟹やシャコもよく食卓に出てたし。もちろん鯛も。昔、好きだったお刺身で、ジナイと呼んでいたものがあった。干物のデビラになる魚のお刺身だ。白身で味がよかった。そのお茶漬けとかも。鞆の浦でそのお刺身に何十年ぶりかに会ったときは感激した。その店でも珍しくまぼろしの味に近づいているみたい。


茨城に住む幼馴染とあなごやおこぜのことを昔食べたから、もういいっか、と言いながら味を思い出す。
そうそう、松茸も私達は昔たくさん食べたのだ。すき焼きにジャンジャン入れて、次の日にはお弁当にも。
今ではとても口にできないけど。