祖父母から孫へ

大蔵流狂言茂山家では、代々祖父がその孫に狂言を教えるということだ。
今20代の茂山家の若者は人間国宝茂山千作さんから、その文化を受け継いでいる。
私達の家庭にもその受け継ぐシステムはあったはずなのだが、生活スタイル、
家族構成が変化してなくなった。


私もいっしょに暮らしていた明治生まれの祖母から受け継いだものが大きい。小学校に上がる前の年に、従妹が生まれるということで、広島から祖母と東京に行った。その時の記憶がなぜか、場面で私には残っている。たとえば、田園調布にあった教会だったと思う、牧師さんが帰る時に坂の上から手を振ってくださっている姿とか(日野原重明氏の父君で、広島で祖母がお世話になった)。高田馬場の祖母の友達の家に行った時の駅近くのガードとか。叔母の友達の家にも行き、それが今で言うセレブな家?洋館建てで、私の暮らしとはまるで違う雰囲気な場面とか。歌舞伎座に行って2階席から見たこととか。その時の東京行きは、私にはインパクトが大きかった。
祖母は新し物好きで、おしゃれだったので、渋谷の東横でも、ちょこっとしたもの
を買った記憶がある。その頃、そんな買い物ができるほどお金があったとは思えないけど。
日常でも、洗濯物の干し方とか、食べるときの茶碗の持ち方とか、でうるさかったが、
考えると道理にかなっている。


3代目がうまく引き継ぐシステムは、有効だったのに。
最近、話をする機会があった稲垣美穂子さんも自分に影響を与えてくれた人
の中に祖母の存在と言われていた。私も同感。


公民館で接する子ども達は私の孫世代だ。