明治の家

小学生から20代後半まで住んでいた家は明治の建物がメインの敷地内にあった。
西国街道沿いの縦長の敷地。


門から入る前庭は建物が見えないくらいたくさんの木々。イチジク、金柑はいつも実り多く。
イチジクは西洋イチジクで小さいけど甘くておいしかった。
今は見かけない。


明治の建物は、台所が広く、暗くて広い座敷が続く。窓もなくて、本当に暗い。


住んでいた家はその隣で、やはり座敷が二つ続いて暗い。
二つの建物の間に暗い路地さえできる長さだ。
そこで、自転車に乗る練習をした。


敷地内の暗闇の構造。
谷崎潤一郎の「陰影礼賛」の世界。


そこは貸家だった。
お風呂は五右衛門。


前庭があるせいで、外見は立派。
私は金持の子どもと思われていたらしい。


大家さんは能の先生で、謡の声がよく聞こえていた。


暗いけど、だだっぴろい畳の空間はその後にも影響して、気持はいつも果てしなく!







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