初代・駅前シリーズ
駅前シリーズ最初の映画は「駅前旅館」。井伏鱒二原作の文芸ものとして1958年製作。
最後のシーン、今は無きであろうあぜ道を2台の馬車が走り、その後にクラクションをブーブー鳴らす車の列。
この映画ができた頃の観客の感想はどうだったのだろう。
50年経過後の今見ると、昔のよきもの、とか言ってる場合でもない。
森繁久弥、伴淳三郎などの客引き番頭、フランキー堺のコンダクター役、それぞれに芸と技がある。その芸と技がいらなくなっての世の移り変わり。
昨今では旅館業も旅館のおもてなしなどで客引きせねばならない時代になっている。でも、おもてなしの本物感は薄い。
50年かけて、人の持つ芸と技がおろそかにされ、今またそれが大事と言ってもね。
50年のロスは大きいよね。
最後の車の列もね。天平の昔から風光明媚とされる場所にも車のために橋が架かりそうになってるけど、車中心の社会は終わり、という切り替えが必要なんじゃない?人口も減るんだし。
ということを考えてしまう映画だった。